現状とこれからの計画を共有
看護師が患者さんの病状の経過や現在の問題点を記入して、今後の治療において詳細な計画、診療報酬の算出などに役に立つのが看護記録です。治療にかかる業務はその時点での治療状況や患者さんの体調や実際に行った処置などを細かく記載して、その情報をもとに治療に当たってのその時点での問題点やこれからの治療計画などをたてるうえで必要不可欠なものになります。
記載方法は、医療機関ごとに設定している事が多く、さらに診療科目によっても項目が異なります。それぞれの処置の有無やそれに関する所見も重要ですし、バイタル測定値なども細かく記入することによって患者さんの状態を詳しく知ることができるでしょう。
基本的な指針で
看護記録には共通したフォーマットはないですが、基本的な指針は存在しています。そのポイントをもとに記入することでまとまりができますし、簡潔かつ必要な情報を網羅した内容となります。現在では、POS(問題志向型システム)と呼ばれるシステムを導入して作成することが多くなっていて、POSを構成する項目は主に以下の5つとされています。
・基礎データ
・問題リスト
・初期計画
・経過記録
・サマリー
この項目は、各医療機関の方針によって多少の違いが出ることもありますが、おおもとはこのラインをもとに作成されています。
また、看護記録の作成にはSOAPと呼ばれるPOSの考え方によって得られたデータを内容ごとに分類し整理した上で各項目ごとに記載する方法がとられることもあります。処置の際に得た主観的(Subject)、客観的(Object)な情報をもとに、現状を把握した上で分析(Assessment)を行い、それを踏まえて最後に治療の計画(Plan)を立てるというのが大まかな流れです。
看護記録を上手に書くポイント
看護記録を作成するポイントはよりスピーディに記入できることと、その情報を分かりやすく医療従事者全てに共有できることが重要なポイントとなります。そのためには、例えば必要な事を箇条書きにして短くまとめたり、各項目に見出しをつけ何について記入しているか明確にしたりなど、簡単にすることがポイントです。
誰が見ても情報が共有できて、簡素化する事で記入にも時間がかからないのがポイントになります。厄年女性看護師の私もこの看護記録はずいぶんと工夫してきました。看護記録は、患者さんへの情報開示の際にも必要となりますし、安心を提供する一つの手段として、必要な情報を確実に押さえた書き方をしっかりと身に付けておきましょう。こういった日常業務一つひとつが質の良い医療へと繋がります。